孤独死の部屋は個人が勝手に清掃しても大丈夫?

孤独死の部屋、自分で清掃することは可能なのでしょうか?

孤独死とは?

孤独死は、家族や友人などの支援や見守りがない状態で、一人暮らしの人が誰にも気づかれずに亡くなることです。この現象は社会的な孤立や家族関係の希薄化が背景にあり、特に高齢者の間で問題となっていますが、高齢者に限りません。

孤独死では、発見されるまでに時間がかかることが多く、遺体の発見が遅れることで、周囲に悪臭が漂ったり、死因が明確でなくなることもあります。また、発見が遅れると、近隣住民に精神的な負担を与える場合もあります。

人口の高齢化や核家族化が進む中で、孤独死の問題が社会問題として注目されています。自治体や地域コミュニティでは、孤独死を防ぐための見守り活動や、定期的な連絡手段の確保などの取り組みが進められています。

孤独死が増えている背景

孤独死が増えている理由には、社会的な要因を始めとするさまざまな原因が考えられます。

高齢化社会

日本だけでなく多くの先進国では、人口の高齢化が進んでいます。高齢者の中には、一人暮らしをしている人が増加しており、家族との関係が希薄であったり、子供がいない場合や、遠方に住んでいるために頻繁に連絡が取れない状況があります。

核家族化

昔は一般的にみられた大家族ですが、現在は核家族化が進んでおり、独立して親と同居しないことが普通になっています。これにより、高齢者が一人暮らしをするケースが増え、孤独感や社会的な孤立が深刻化しています。

地域社会の変化

都市化やライフスタイルの変化に伴い、地域コミュニティが希薄化しています。以前は隣人同士が助け合う文化がありましたが、現代ではそのような関係が減少し、近所付き合いが少なくなっています。その結果、孤独死が発生しても周囲が気づきにくい状況が生まれています。

社会的な孤立

離婚や配偶者の死別などで一人暮らしになる中高年のほかに、晩婚化や未婚者の増加も要因のひとつです。結婚しない若者が増加するにつれて、孤独死も増加すると考えられています。健康的な20代や30代のひとり暮らしは問題ありませんが、突然の病気やケガによって周りに助けを求める人がいない場合には身動きとることができません。孤独死は高齢者だけの話ではないのです。このよう理由で社会から孤立する人も増えています。

経済的な問題

低所得者や無職の高齢者は、経済的な困難から支援を受けにくい状況に置かれがちです。経済的な問題が孤独死に直結するわけではありませんが、生活困難な状況が社会的孤立を助長する要因となります。

プライバシーと個人主義

現代社会では、個人のプライバシーが重視される傾向が強く、人々が他者の生活に干渉しないことが一般的です。これが一人暮らしの高齢者の孤立をさらに進める要因となり、結果として孤独死を招くことがあります。

これらの要因が複合的に影響し合い、孤独死が増加していると考えられます。社会全体として、この問題に対処するための取り組みが求められています。

孤独死があった部屋の状況

まず、人は亡くなると腐敗していきます。気温の高い夏場の場合、2〜3日、冬場でも5〜7日程度で死臭と言われる腐敗臭が生じます。それらの臭いにつられて、ハエやゴキブリなどの害虫がわずかな隙間から入ってきます。それらが遺体に卵を産み付けるなどして、ウジ虫などが発生するのです。

そのように放置された遺体からは体液などが漏れ出し、壁や床にしみを作ってしまいます。腐敗臭を含め、害虫の駆除、体液によるしみや汚れなども通常の清掃やハウスクリーニングでは取り除くことができません。

また孤独死が起きた部屋では、遺体にわいた害虫などから細菌やウィルス等の病原菌が繁殖し、触れたり、その空気を吸い込むことで、感染症にかかる恐れがあり危険です。遺体の腐敗などの損傷の程度が軽いうちに早期発見することで、負担も少なくなりますが孤独死ではそれが難しい点といえます。

孤独死の部屋は個人が勝手に清掃しても大丈夫?

結論からいえば、孤独死がわかった時点で個人で清掃は不可能と考えておいた方がいいでしょう。経験のない人が清掃をおこなうことが禁止されているわけではありません。しかしながらそれには危険が伴うだけでなく、大変な労力と時間がかかり、消臭や除菌など特殊な作業が必要となるからです。

遺体が放置されていた期間が長期間であった場合には、汚れや腐敗集は取り除きにくく、リフォームが必要となる場合もあるのです。つまり個人では満足できる清掃をおこなうことは難しいということになります。そこで孤独死のあった部屋では特殊清掃業者に依頼することが基本です。

特殊清掃業者は孤独死などがあった部屋の清掃をおこなうプロであり、しっかりと防護服に身を包み、さまざまな特殊な道具や機器を使い清掃をおこないます。なかなか消えない腐敗臭なども取り除く脱臭という作業までおこないます。また近隣へのイメージを考慮して特殊清掃が入ったということを知られないよう、手早く作業をおこなってくれます。

特殊清掃に依頼するメリット

特殊清掃を業者に依頼するメリットを考えてみましょう。

安全

上記でも説明したように、孤独死のあった部屋では感染症や細菌、ウィルスなどの危険が多く潜んでいるため個人で清掃するのは危険が多いのです。特殊清掃はプロであり、作業に慣れているため安心して任せましょう。

遺品整理、供養

部屋に入ることは危険なため、その場にあった遺品なども状況によっては廃棄をする必要があります。しかし、遺族にとっては生前のものをできるだけ残したいという気持ちもあるでしょう。それらの大事な遺品をできるだけ整理することも特殊清掃に依頼することができます。また孤独死された方の供養や葬儀の手配までおこなう業者もあります。

完璧な脱臭

死臭というものは、簡単な消臭剤などで消えるものではありません。賃貸物件の場合には特に次の入居者のことを考慮して、完璧な脱臭をおこなう必要があります。特殊清掃業者では、特殊な装置で臭いを取り除きます。

まとめ

社会的な背景とともに増加傾向にある孤独死は、高齢者に限ったことではありませんが、さまざまな手段で孤独死を減らしていくことが重要です。孤独死の現場にであってしまったら、個人で清掃することは避け、プロの特殊清掃業者に依頼するようにしましょう。